「バザーリア法」は、イタリアの精神医療における重要な転換点を表しています。この法律は、フランコ・バザーリアという精神科医によって提唱され、1978年にイタリアで採択されました。正式名称は「180号法」として知られています。

バザーリア法の主な特徴と影響:

1. 精神病院の廃止: バザーリア法は、伝統的な精神病院の廃止と、患者の地域社会への統合を目指しました。この法律により、多くの精神病院が閉鎖され、患者は地域社会内で治療を受けるようになりました。

2. 地域ベースのサービス: 精神病院の代わりに、地域社会内でのサポートと治療のネットワークが構築されました。これには、デイケアセンター、地域精神保健サービス、住宅支援などが含まれます。

3. 患者の権利と人間性の尊重: この法律は、精神障害者の権利と尊厳を重視し、彼らが地域社会の一員として尊重されることを保証しました。

4. 治療の多様化: 治療はより個別化され、患者一人ひとりのニーズに合わせた多様なアプローチが取り入れられるようになりました。

5. 社会的統合: 精神障害者を社会から隔離するのではなく、彼らの社会的統合を促進することが目標とされました。

世界的な影響:

バザーリア法は、世界中の精神医療の改革に大きな影響を与えました。この法律は、精神障害者の治療とケアに対するアプローチを根本的に変え、他国における類似の改革のモデルとなりました。

この法律は、精神医療における人権と地域ベースのケアの重要性を強調し、多くの国で精神医療システムの再評価を促しました。精神医療における開放と変革の象徴として、バザーリア法は今日でも重要な意義を持っています。

 

地域ケアの強化には、早期発見と早期治療が不可欠です。当院では、この目標を達成するために、地域医療の促進に力を入れています。

地域ネットワークの確保

効果的な地域ケアを実現するためには、医療提供者、地域の社会サービス、患者家族との緊密な連携が必要です。当院は、就労移行支援施設、リワーク施設、訪問看護ステーション、精神科病院とのネットワークの構築と維持に努め、患者さん一人ひとりに最適なケアを提供するための基盤を作っています。

テクノロジーの活用

現代のテクノロジーを活かし、オンライン診断を取り入れることで、より多くの人々へのアクセスを拡大しています。これにより、患者さんが時間や場所の制約なく、必要な時に適切なサポートを受けることが可能になります。

未病への取り組み

病気の治療だけでなく、未病・再発予防の段階での介入も重視しています。院内の臨床心理士と連携しカウンセリングの提供を行うことにより健康な心の維持と、精神的な問題が深刻化する前の予防にも力を注いでいます。