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心身症

心身症とは、身体の病気の発症や経過に、心理的・社会的な要因が深く関わっている状態を指します。単に「気のせい」という意味ではなく、実際に身体の不調や病気があり、そこにストレスや心の状態、生活環境などが影響している病態です。

心身症とは

心身症とは、身体の病気や症状に対して、ストレスや心理的要因、生活環境などが密接に関わっている状態をいいます。身体の症状があるにもかかわらず、検査では異常がはっきりしない場合もあれば、実際に身体疾患があり、その悪化や回復の遅れにストレスが影響している場合もあります。

代表的なものとしては、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、片頭痛、高血圧、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんましんなどが挙げられます。こうした症状は、心の問題だけでも身体の問題だけでも説明しきれず、両方の視点からみることが大切です。

また、心身症のある方の中には、つらさをうまく言葉にできず、無理を重ねながら頑張り続けてしまう方も少なくありません。周囲からはまじめで問題なく見える一方で、心や体には大きな負担がかかっていることがあります。

日常生活や仕事への影響

心身症では、身体の不調が続くことによって、日常生活や仕事に影響が出ることがあります。症状そのもののつらさに加えて、「また悪くなるのではないか」という不安や、周囲に理解されにくい苦しさが重なることもあります。

  • 頭痛や胃腸の不調、動悸、倦怠感などが続く
  • ストレスがかかると症状が悪化しやすい
  • 体調不良で仕事や家事に集中しにくい
  • 周囲には分かりにくく、一人で抱え込みやすい
  • 無理を続けてしまい、回復が遅れることがある
  • 通勤や外出が負担になることがある

こうした状態が続くと、生活の質が下がるだけでなく、仕事を休みがちになったり、人との関わりが負担になったりすることもあります。身体症状への対応に加えて、ストレスとの関係を整理していくことが大切です。

ストレスと身体症状の関係に悩んでいるイメージ

原因・背景

心身症の背景には、心と体が相互に影響し合う「心身相関」があります。強い緊張や不安、慢性的なストレスが続くと、自律神経系や内分泌系の働きが乱れ、身体症状として現れたり、もともとの身体疾患が悪化したりすることがあります。

ストレスの原因は、人間関係、仕事、家庭の問題、病気、経済的な悩みなどさまざまです。また、同じ出来事でも受け止め方や対処の仕方には個人差があり、もともとの性格傾向や無理をしやすい行動パターンが影響することもあります。感情を言葉にしにくい、周囲に合わせすぎてしまうといった傾向が背景にある場合もあります。

代表的な心身症のひとつである過敏性腸症候群のように、身体とストレスの関係が強くみられる病態もあります。症状だけを見るのではなく、その背景にどのような負担があるのかを確認することが重要です。

診断について

心身症の診断では、まず身体症状や身体疾患が実際に存在していることを確認したうえで、そこに心理的・行動的な要因がどのように関わっているかを総合的に評価します。たとえば、ストレスが症状の悪化や回復の遅れに関係していないか、治療の継続を妨げていないかなどを丁寧にみていきます。

また、うつ病、不安症、パニック症、心的外傷後ストレス障害など、他の精神疾患による身体症状ではないかを確認することも重要です。心身症では、一見すると心理的な問題がなさそうに見える方も少なくありませんが、実際には強い負担を抱えながら無理を続けていることもあります。

必要に応じて、身体科との連携やこれまでの経過、生活状況、ストレスの内容などを確認しながら、心と体の両面から状態を評価していきます。

治療について

心身症の治療では、身体症状に対する治療とあわせて、ストレスや生活背景への対応を考えていきます。症状の種類や時期によって、薬物療法が中心になることもあれば、カウンセリングや行動療法などの心理的アプローチが中心になることもあります。

身体症状への対応

まずは身体の症状や疾患に対して、必要な治療を行うことが大切です。現在の症状に応じて、内科や皮膚科、消化器内科など他科と連携しながら進めることもあります。身体症状をきちんとみながら、無理の少ない形で心身の回復を目指します。

心理的サポート・環境調整

心身症では、ストレス要因の整理や、負担を軽減するための環境調整が重要になることがあります。仕事や家庭の状況、人間関係、生活リズムなどを振り返りながら、症状を悪化させている要因がないかを確認していきます。

また、カウンセリングや行動療法を通して、ストレスへの対処法を身につけていくこともあります。病態や時期に応じて、心と体の両方を支える方法を組み合わせながら進めます。

薬物療法

不安や不眠、身体症状が強く、悪循環が生じている場合には、必要に応じて薬物療法を併用することがあります。症状をやわらげることで、休養や心理的サポートが受けやすくなる場合もあります。

薬物療法は症状や状態に応じて検討され、漫然と続けるのではなく、回復に合わせて調整していくことが大切です。

相談の大切さ

心身症は、身体の症状があるために「内科で異常がないなら気のせいなのでは」と思われたり、ご本人も「自分が弱いだけかもしれない」と感じてしまったりしやすい状態です。しかし実際には、心と体の両方に負担がかかっていることが少なくありません。

頭痛や胃腸の不調、動悸、倦怠感などが続いている、ストレスで症状が悪化しやすい、検査では大きな異常がないのにつらい状態が続いているという場合には、一人で抱え込まずご相談ください。身体症状とストレスの関係を整理しながら、生活に合った治療や対処法を一緒に考えていきます。

参考文献

小牧元,久保千春,福土審(編):心身症-診断・治療ガイドライン2006.協和企画,2006.
久保千春(編):心身医学標準テキスト.第3版,医学書院,2009.
河野友信,吾郷晋浩,石川俊男,他(編):ストレス診療ハンドブック.第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2003.

※本ページは医学的知見および関連資料をもとに患者さん向けに再構成しています。実際の診断や治療は症状や生活状況に応じて個別に判断されます。


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