うつ病
うつ病・気分障害は、気分の落ち込み、意欲の低下、不眠、疲れやすさなどが続き、仕事や日常生活に大きな影響が出る状態です。「気持ちの問題」「甘え」ではなく、こころと脳の働きがうまく保てなくなっている状態と考えられています。忙しさやストレスの中で無理を重ねているうちに、朝起きられない、仕事に行けない、何をしても楽しめないといった形で症状が表れることもあります。つらさが続いているときは、一人で抱え込まずにご相談ください。
うつ病・気分障害とは
うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が続き、考える力や体の動き、睡眠、食欲などにも影響が出る病気です。気分障害という言葉は、うつ病を含め、気分の変化が大きく日常生活に支障をきたす状態を広く指すことがあります。
一時的に気分が落ち込むことは誰にでもありますが、うつ病では落ち込みが長く続き、休んでも回復しにくくなることがあります。これまで普通にできていた仕事や家事、人とのやり取りが難しくなり、「頑張りたいのに頑張れない」と感じる方も少なくありません。
仕事で起こりやすい困りごと
うつ病・気分障害では、仕事の中で次のような困りごとが起こることがあります。
- 朝起きられず、出勤がつらい
- 仕事に集中できず、ミスが増える
- 判断力が落ちて、普段ならできる作業に時間がかかる
- 会話やメールのやり取りが負担に感じる
- 以前はこなせていた業務が手につかない
- 人と会うのがしんどく、職場で孤立しやすくなる
- 無理を続けた結果、欠勤や休職を考えるようになる
特に働いている方は、「迷惑をかけてはいけない」と無理を重ねやすく、症状が悪化してから受診されることもあります。頑張り続けるほど回復に時間がかかることもあるため、早めに状態を整理することが大切です。

原因・背景
うつ病は、ひとつの原因だけで起こるものではなく、遺伝的な要因、もともとの気質、ストレスの多い出来事、生活環境の変化、体調の変化などが重なって発症すると考えられています。特に、責任感が強い方、無理をしやすい方、つらくても周囲に相談しにくい方では、疲れやストレスが積み重なって症状につながることがあります。
脳内の神経伝達物質の働きが関係していると考えられており、セロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどのバランスが、気分や意欲、睡眠に影響している可能性が示されています。ただし、うつ病は単純に「脳内物質だけ」の問題ではなく、その人の置かれている状況やこれまでの経過も含めてみていくことが大切です。
診断について
診断では、気分の落ち込みや意欲低下の程度だけでなく、睡眠、食欲、集中力、疲労感、不安の強さ、仕事や家庭での影響などを丁寧に確認していきます。現在の症状だけでなく、いつ頃から続いているか、きっかけとなる出来事があったか、これまでに似た状態がなかったかも重要な手がかりになります。
また、うつ病と似た症状を示す他の状態や、背景に別のこころの病気が隠れていないかも確認が必要です。特に、気分の落ち込みの中に躁状態や軽躁状態が混ざっていないかは重要で、必要に応じてご家族や周囲の方からお話をうかがうこともあります。
治療・対策について
うつ病・気分障害の治療では、薬物療法だけでなく、心理的な支援、生活の調整、職場や家庭への配慮などを組み合わせながら進めていきます。大切なのは、今の状態を正しく理解し、無理を続けないことです。回復には段階があり、その時々の状態に合わせて治療方針を考えていきます。
休養と環境調整
症状が強い時期には、まずこころを休めることが大切です。無理を続けることで、さらに回復が遅れることもあります。仕事量の調整、休職の検討、家事の負担を減らすことなど、今の状態に合わせた環境調整が必要になる場合があります。一方で、状態が落ち着いてきた段階では、適度な運動や生活リズムを整えることも回復の助けになります。
カウンセリング・心理的サポート
気分の落ち込みが続いていると、自分を責める気持ちが強くなったり、物事を悲観的に捉えやすくなったりすることがあります。カウンセリングでは、つらさの整理や考え方の偏りの見直し、ストレスへの対処法の検討などを行います。ご家族や職場の方に病状や回復の段階を説明し、周囲の理解を得ることが役立つ場合もあります。
薬物療法
症状の程度に応じて、抗うつ薬などを用いた薬物療法を行うことがあります。使用する薬は、年齢、体質、合併症、現在飲んでいる薬、副作用の出やすさなどを考慮して選びます。治療初期は症状の変化を丁寧にみながら、必要に応じて調整していきます。
抗うつ薬は、飲んですぐに効果を実感するとは限らず、効果が出るまでに少し時間がかかることがあります。そのため、自己判断で中断せず、診察を受けながら進めることが大切です。
薬の副作用について
薬の効果や副作用の出方には個人差があります。飲み始めの時期に、吐き気、眠気、だるさ、口の渇き、便秘、頭痛などがみられることがあります。多くは調整しながら対応できますが、気になる症状がある場合には、自己判断で中止せずご相談ください。
また、症状が改善したあとも、再発予防のために一定期間治療を続けることが勧められる場合があります。特に、これまでに繰り返しうつ状態を経験している方では、維持療法が大切になることがあります。
働きながらできる工夫
- 抱えている業務を整理し、優先順位を見直す
- ひとりで抱え込まず、上司や周囲に相談する
- 休憩時間や睡眠時間を削りすぎない
- 「今の自分にできる範囲」で目標を立てる
- 回復途中は無理に元のペースへ戻そうとしない
状態によっては、働きながらの調整が難しいこともあります。その場合には、休職や復職支援も含めて考えていくことが大切です。
相談の大切さ
うつ病・気分障害は、早めに相談することで回復につながりやすくなります。「このくらいで受診してよいのだろうか」「もっと頑張れば何とかなるのでは」と考えて無理を重ねてしまう方もいますが、つらさが続いている時点で相談する意味があります。
気分の落ち込みが続く、眠れない、仕事に行けない、何も楽しめない、自分を責めてしまうといった状態がある場合には、一人で抱え込まずご相談ください。今の状態を整理し、必要な治療や休養、今後の対応を一緒に考えていきます。
うつ症状が続いているときは、無理に働き続けることで状態が悪化することもあります。 当院では、現在の状態を整理しながら、休職のタイミングや復職の進め方についてもご相談いただけます。
休職のご相談について詳しくはこちら >参考文献
Bauer M, Whybrow PC, Angst J, et al.:World Federation of Societies of Biological Psychiatry (WFSBP) Guidelines for Biological Treatment of Unipolar Depressive Disorders. World J Biol Psychiatry 3: 5-43, 69-86, 2002.
Lam RW, Kennedy SH, Grigoriadis S, et al.:Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments (CANMAT) Clinical guidelines for the management of major depressive disorder in adults. J Affect Disord 117: S26-S43, 2009.
今日の精神疾患治療指針 第2版.医学書院,2016.
※本ページは医学的知見および関連資料をもとに患者さん向けに再構成しています。実際の診断や治療は症状や生活状況に応じて個別に判断されます。
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